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October 04, 2004

煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices

舞城 王太郎,「煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices」,講談社,2001年.

舞城王太郎,ちょっとせめてみることにする.
この人の家族観は面白い.あまりにも絶対的で運命的で所与のものなのだろう.
場としてのミステリを使いながら,やりたいことは別にあるというか,この辺も面白い.

暴力的な描写についてだけど,馳星周って,こんな感じだったっけな.

それからこうも言った.「生きてても虚しいわ.どんな偉いもんになってもどんなたくさんお金儲けても,人間死んだら煙か土か食い物や.火に焼かれて煙になるか,地に埋められて土んなるか,下手したらケモノに食べられてしまうんやで」.龍子はこの台詞を繰り返した. (p.172)
でも結局家族は生きてるうちに,そして死んでからも引きつけあうのだ.万有引力と同じくそもそも逃れられない力なのだ.俺たち家族が生きたまま集まること でまた新しい不幸や別の悲劇がさらに生まれることになるかも知れない(俺は考えすぎているのか?そうじゃない.俺の確信だ.生きている俺たちが揃うとまと もなことが起こらないのだ).でも止められないのだ.力を抑え切れないのだ.それが家族のお互いを引きつけあう力だ.家族として発生した以上,とどめよう のない力だ. (p.362)

Posted by ysk5 at October 4, 2004 03:11 PM