« ネット接続の調子がクソ悪い件について | Main | Romanelli(1991) »

January 13, 2005

テロリストのパラソル

藤原 伊織,「テロリストのパラソル」,講談社,1998年.

直木賞と乱歩賞を受賞したのもわかる,面白くって本推で.
ちょっと他のも読んでみることに.

テロを語るときに,このテーマははずせない.

ぼくらの一部は,自己否定の論理までいっちゃったろう?あれにぼくは乗れないんだよ.思うんだけど,われわれが相手にまわしてい
たのは,もっと巨大なもの,権力やスターリニストを超えたものだって気がしてきたんだ.いわゆる体制の問題じゃない.もちろん,イデオロギーですらない.
それは,この世界の悪意なんだ.この世界が存在するための必要成分でさえある悪意.空気みたいにね.その得体の知れないものは,ぼくらがなにをやろうと無
傷で生き残っている.(pp.103)

そのとき,はじめて気がついたんだ.自分が絶望していることに.絶望ってどういうときにやってくるか知ってるかい.この世界で動かしがたい事実のあることを知るときだよ. (pp.361)
「まだ,わからないのかい.もう決してとり戻せないものは,破壊する.そういうことさ.そんな人間になってしまったんだよ,ぼくは.そんなふうに変質してしまっているんだ」 (pp.362)

Posted by ysk5 at January 13, 2005 09:52 AM