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January 17, 2005

System of IMSE Laboratories

IMSEにおける研究室はそれぞれ研究領域とアプローチとをもち,それらの広さや多様さは,IMSE内での相対的なレベルにおいて相互に関係しており,そ
の意味でシステムを構成しているといえる(1).
IMSEの研究室とその相互関係を研究領域とアプローチの面からシステムとして認識したとき,以下のようにかける.
System of IMSE
Laboratoriesは,問題解決における各研究室の強みの種類を表している.
また,自身の関心によって,研究室を選択するための1つの視座を提供する.
が,一方で本枠組みにおいては,研究室の活動の活発さや,研究室に属する個人について考えることはできない.それは本枠組みの興味の対象外である.
また同時に,本枠組みは研究室を序列づけするためのものでもない.そもそも絶対軸としての基準と定めることが不可能である以上,序列づけを行ったとしても
ある観点からの序列であり,個人によって有用性が異なることから,全体としての有用性は限定される.そしてそのような序列を提供するよりも,個人の価値観
を反映した選択を支援するための枠組みを提供する方がはるかに有用であると考える.
一般に研究領域の広さは,対応可能な問題状況の広さを表す.しかし,狭いことは悪いことではなく,むしろ専門的であるともいえる.
またアプローチの多様さは,問題解決に用いる手法の数を表す.しかし,手法の数が少ないことは悪いことではなく,ある意味でその手法が強力であることを示
唆しているともとれる.
これをもとに,5つのタイプについて特徴を説明する.
■Type 1
研究領域が狭く,アプローチの多様性が低い研究室の研究の特徴はハードであることだ(2).
数理的なアプローチをとることが多く,良構造(問題がはっきりしている)の問題状況において,非常に有効である.問題はなかば与えられているものであり,
それをどのようにして解くか,最適化(最大化・最小化)を目的とするものが多い.
特定領域についての専門的な知識・技能を獲得できることが期待でき,その意味で就職時にその特定職種において有利となることも考えられる.
■Type 2
研究領域はある程度広く,アプローチの多様度が低い研究室の研究の特徴は手法ドリブンであることである.
ある手法をベースとなった研究領域以外にも,その手法の強みを活かして適用していることが多い.
基礎的な理論の構築よりも,応用領域に力を入れていると考えられ,実際応用研究が目立つ.
基礎をもった上で,問題に対して応用を行うという,ある意味では工学的な力を獲得することが期待できるので,就職においては,そういった力を評価するよう
な企業や組織について有利になるとも考えられる.
■Type 3
研究領域は狭く,アプローチの多様度がある程度高い研究室の研究の特徴は領域ドリブンであることである.
領域が定められていて,問題は明確であるため,手法についてはこだわらず,実用主義(pragmatism)的な思考のもとに研究を行う.
特定領域に関する広範かつ深い知識を獲得できることが期待できるので,就職においてはその領域にかかわる特定業種について,有利になることも考えられる.
■Type 4
研究領域の広さが中程度で,アプローチの多様度が中程度の研究室の研究の特徴はハードとソフトなパラダイムの混在である.ハードなアプローチにおいて解決
することが有効でない領域においてソフトなアプローチをとっている研究が多い.
もし,うまくいけば,ハードな専門知識(特定領域における非常に強力な問題解決能力)とソフトな視点(多元的な価値観を認め,与えられた問題を解くことよ
りも問題自体の認識・同定に注力するタイプの問題解決に関する考え方)を備えもつことが期待できる.が,実際にはどちらかの専門家になっているように思わ
れる.
現状からみれば,就職においてはハードな分野の専門家としての知識を蓄えることが,特定職種において有利になるためには必要であると考えられる.
■Type 5
研究領域が広く,アプローチの多様度も高い研究室の研究の特徴はソフトな思考を基本としている点である.
問題を解決する際に,その問題状況に対して適切なアプローチを選択して,そのアプローチによって問題を解決しようとする.
多様な問題状況にも対応可能で,そのためのアプローチも備えている.
System of IMSE Laboratoriesのような仕事を行うことに価値があると考えるようなタイプの人が多い(少なくともType
1の研究室の人はあまり考えません).
センセが就職は個人で決まるとおっしゃっていらっしゃるので,そうなんでしょう.
---
(1)システムとは,要素と要素間の関係からなる知的構築物である.
(2)ここでのハードとは,ハードとソフトという意味でのハードである.

Posted by ysk5 at January 17, 2005 12:38 AM

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