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February 13, 2005

四畳半神話体大系

森見 登美彦.「四畳半神話大系」.太田出版,2005年.

4つのストーリーから構成されている.
基本的にキャラクター,事象等の設定は同一.
けれども,それぞれ少しずつ経過が異なっていて,展開に違いがある.
が,最終的な結末は同じ.

運命というのはequifinalityをもつものであると.
一見経路依存的で,また,そうであって欲しいと思うのだけれど,無限の運命群の道をたどっていくと一本の現在の私の運命に収束していくと.
そういうことだろうか.

結局,本を捨てて,四畳半から出て行けよ,ということ?

「慰めるわけじゃないけど,あなたはどんな道を選んでも僕に会っていたと思う.直感的に分かります.それでいずれにしても,僕は全力を尽くしてあなたを駄目にしちゃうからね.運命に抗ってもしょうがないでしょう」 (pp.39-40)
しかしながらあの無限に続く四畳半世界を八十日間歩いてみた印象から推察するに,私はいずれの道を選んでも大して代わり映えのな い2年間を送っていたのではないかと思われる.何より,恐るべき想像ではあるが,いずれの道を選んでいても小津とは出会っていたのではないか.小津の言う 通り,我々は運命の黒い糸で結ばれているということだ. したがって,私は過去の自分を抱きしめたりはしないし,過去の過ちを肯定したりはしないけれども,とりあえず大目に見てやるにやぶさかではない. (pp.288)

Posted by ysk5 at February 13, 2005 11:40 AM