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March 08, 2005
てのひらの闇
藤原伊織の書く日本語はうますぎる.
あまりにもうまいので,主題なんかほっておいて,表現のみを味わうことでも満足してしまう.
さて要約メモ.
やくざのはなし.
組長の息子が,20年間企業で働いていたが,その企業の会長が自殺する事件をきっかけに,やくざの世界に戻っていく.会長の自殺の原因をしるために.
あとはいつもの藤原流ハードボイルドな道具立てで綴る,美しき日本語の世界と.
話の本筋をまともに追っていなかったから,自信がないのだけど,手のひらの闇はなくなったということで,いいのだろうか.
ベッドに腰かけ,手の甲に残る火傷の痕に目をおとした.それから表を返し,てのひらをそっと開いた.そこにちいさな闇がうずくまっている.じっと眺めているうち,やがて幻のようにうかびあがってくるものが闇のなかにかたちを結んだ.なにかの傷に似た赤い糸クズだった.
pp.437
降りそそぐ陽射しを抱きかかえるように,私は両手をひろげた.pp.453
Posted by ysk5 at March 8, 2005 10:41 PM