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March 28, 2005
オーデュボンの祈り
たいへんおいしゅうございました.
どのくらいおいしかったかというと,読んだ翌日一日中,この本のことを考えながら,余韻に浸りながら,生活できたくらい.
これは,すごい物語だよ,ほんとうに.
外の世界との交流がない島に,強盗犯が逃げ込んで,島を救ってしまうというおはなし.
はなす案山子がでてきたり,体重300kgのひとがいたりとで,これこそシュールなはなしです.
シュールなのだけど,そこで書かれているのはまさにドラマで愛の物語なのです.
さて,メモ.
神様のレシピはここが初出?
「神様のレシピだ」日比野が表情を変えずに言った.「未来は神様のレシピで決まる」
錯覚ではあったが,カカシはうなずいたかのように見えた.「神様のレシピはとても多くの材料が並んでいて,贅沢です」
僕はそれをとてもいい響きの言葉だ,と思った.
pp.38
人生エスカレータ理論.
宿命・運命論ともいえそう.
「人生ってのはエスカレーターでさ.自分はとまっていても,いつのまにか進んでるんだ.乗った時から進んでいる.到着するところは決まっていてさ,勝手に
そいつに向かっているんだ.だけど,みんな気がつかねえんだ.自分のいる場所だけはエスカレーターじゃないって思ってんだよ」
pp.42
多分にネタバレなのだけど,ここをメモったとき,涙が出てきたくらいすごくいいところなので,書きたい.
そう,これでどうだ!なんだ.
なんとなく著者に”どうだ!”って言われているような気もする.
そしてこの本の中ではじめて音があふれてくる.
「ずっと君が来るのを待っていたんだ.ざっと」そうして日比野の顔を振りかえる.「どれくらいかな?」
彼はすぐさま「百年以上だ」と興奮した声で答えてくれた.
「百年以上」と僕も言う.「みんなが君を待っていた.さあ,どうだ」
まるで挑戦するかのような気分で,彼女の顔を見た.これでどうだ.
彼女も,いよいよこれはただの悪ふざけではないぞと思いはじめていたのかもしれない.
僕は抑え切れない声をそこで上げる.
「この島に欠けているのは音楽だ」
pp.448
Posted by ysk5 at March 28, 2005 08:40 PM