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June 12, 2005

マーチ(1991)

ジェームス・G・マーチ.”組織のエコロジーにおける経験からの学習”.組織科学,Vol.25,No.1,pp.2-9,1991.

組織をエコロジー(生態学)の観点から捉えることで,組織学習を理解する試み.

このへんはぼくもマーチと同じ立場.
ただ,マーチは組織学習の姿を描写することに関心がありそうだが,ぼくはどうすれば組織学習がいい学習たりえるのかに関心があると.


一般に組織研究において「学習」という用語は,2通りの使われ方をしている.ある時には「学習」は行為の結果を表している.この定義によれば,成果が向上
したときに,学習が起こったということになる.一方「学習」が適応のための特定のプロセスを指す場合もある.この定義によれば,経験したり知識を移転する
ことによって行為が変わるような場合,「学習」が行われたことになる.両方のパースペクティブから,学習について多くの重要な研究が為されているが,両者
を混同することは恐らく誤りであろう.この小論では,学習をプロセスとして捉える定義を採用する.特定の学習プロセスが成果に対し良い結果をもたらすか否
かは,また別の問題として扱われる.
マーチ(1991) pp.2

フィールド・バック・ループってフィード・バック・ループの間違いかなーと思ってgoogleかけてみたけど,ちょいと微妙な感じなので指摘しないでおく.

これが,いわゆる生態学による描写で,戦略の進化が学習の特性に依存していることを示している.


例えば,組織は経験を通じて,どの戦略(または技術)を使うべきかを学習すると同時に,どのようにして彼らが使用する戦略(または技術)を開発すべきかを
学習する.これら2つの形式の学習は,互いに関係している.ある特定の戦略が使われれば使われるほど,そしてその戦略を使うことから得られる成果はより良
くなればなるほど,その戦略が経験を通じて強化される可能性は高くなる.ある戦略が強化されればされるほど,それが使われる可能性もまた高くなる.このよ
うな正のフィールド・バック・ループは,現在の戦略を使用する能力をかなり増大させる.そしてこの学習プロセスを通じて,(潜在的により優れた)他の戦略
によって現在の戦略を代替することは難しくなってしまう.このように,自然な学習プロセスを通じて組織は,安定的な準最適解という「能力のワナ
(Competency Trap)」に,陥る可能性が高くなる(David, 1985).
マーチ(1991) pp.4-5

Marchは日本好きなのだろうか?結構寄稿しているよな.

Posted by ysk5 at June 12, 2005 12:34 PM

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