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November 18, 2005

IFSR 2005レポート

概要

05/11/14-17に開催されたIFSR 2005で研究発表をしてきた.ここでは(1)自分の練習の記録と(2)自分の研究発表,(3)会議における研究発表,(4)会議中のイベント,(5)会議におけるほかの発表者から学んだよい発表方法についてまとめる.


05/11/14(Mon.)1日目


16:00にホテルに着く.この時点でシートをまだ全部覚えおえていなかった.Welcome Receptionが18:00からあったのだけど練習をしたいので欠席.

18:30にホテルで食事.本当はコンビニにでも買いにいければよかったのだけど,周りにコンビニがなさそうな雰囲気であったのと,外へ出て行くのが時間的にもいやだったので親子丼と稲庭うどんで1.8kという食事を仕方なくとる.

お風呂に入った後,シートの暗記作業.お風呂は広くて掃除しなくていいのですばらしかった.ただ,少しお湯の出る勢いが弱くて加減が難しかった.途中,スイス-トルコのワールドカップ予選プレーオフなどの誘惑に少し負けながらも淡々と作業.次の日が早いので12時には就寝した. # 寝る前にホテルの冷蔵庫からコーラを飲んだ.


ポートピアホテル神戸ハック(1)


夜中の間,客席のコンセントへの電力の供給が途切れることがあるっぽい.コンセントにつないだまま,ノートパソコンを立ち上げたままで寝たら,翌朝バッテリ不足で落ちていました. # と思ったけど,ノートPCのアダプタがうまく接続できていなかったからかもしれないので撤回しとく.


05/11/15(Tue.)2日目


06:00におきて,朝ごはんを食べる.バイキング形式の食事でなんとなく3日ともアメリカンスタイルの朝食で攻めようと心に決める.食べながらもシートを読んで練習.

09:30からOpening Address.始まりは一応出ようと思って出席.

10:00からKeynote Speech(1).The member of House of RepresentativeなOmi議員が知識社会とか技術立国についてIFSR 2005のテーマである"The New Role of Systems Sciences for a Knowledge-based Society"と絡めてお話.英語がお上手.大変失礼だけど,政治家の先生なのでまともに喋れるはずがないと思っていましたが,SpeechのあとのQuestion & Commentにもしっかり英語で対応(長い質問以外では通訳を使わず,質問に対しての答えはすべてご自身が英語でされていた).政治家さんをなめていたのか,Omiさんをなめていたのかは微妙なところだけど,ごめんなさい.

ref. http://www.omi.or.jp/ # generated by FrontPage
# つか通産省出身なのか.ならぺらぺらなわけだ ref. http://www.omi.or.jp/profile.htm

11:00からはホテルに戻って,再び練習.本当は11:30からの吉田民人センセの講演をお聞きしたかったのだけど,優先度を考えて自重した. # あとで出口センセにお聞きしたところいつものYoshida Tamito Methodでgenerateされたステキな講演だったらしいです.

14:00からは最初のセッション.午前中にセンセにとりあえず雰囲気をつかんでおいたほうがいいから,みておきなさいとアドバイスをいただいていたので2つ発表を聞いた.


S2-1-1 Hofkirchner "Ludwig von Bertalanffy Forerunner of Evolutionary Systems Theory"


ベルタランフィのお話.evolutionary systemの説明をしていたと思う.

けれど,英語がうまく聞き取れないのと,シートがわかりにくい(説明的でないし,補助的でない,構成がわかりづらい)のでよくわからなかった. # 研究の発表というかは招待講演的な扱いなのかな.


S2-1-2 Gregory "Learning to be Responsible? A System View of the Organization-Environment Relationship"


企業の社会的責任を企業の意思決定レベルごとに分類したZadekのモデルを利用している.またself-productionとstructual couplingの概念を用いて組織とステークホルダー(環境内の存在)との関係性を説明している. # ref. Zadek, S(2004): "The path to corporate responsibility", Harvard Business Review, Vol.82, No.12, 2004.


この時点での雑感と経過


割と練習していない人が多い.そして時間を守らない.また英語の発音は人によってはものすごく癖があるということがわかった.

2つ発表を聞いたあとで,セッションの部屋から出て,練習.本番を意識していつもつっかえるところの脆弱性にパッチをあてる.


S2-2-1 Inoue "Close Inter-firm Relationships under the Open Network Systems that Maintain Competition and Coorperation"


研究の発表だ.内容はあまりしっかり聞いていなくて,挨拶とか受け答えとかをチェック.日本人英語でも大丈夫であることがわかって安心.

リサーチマップに入れ忘れたような気がするMaloneの論文のreference dataをここにて発見してうれしくなる. # ref. Malone, et.al(1987): "Electric Markets and Electronic Hierarchies", Communications of ACM, Vol.30, No.6, pp.484-497, 1987.


S2-2-2 Negoro "Business Model Analysis as a Systems Approach"


7 books?とKino booksとヤマトのやつのビジネスモデルについて,ビジネスモデルによる記述とSSMによる記述を比較していた.この比較による対応付けにより,ビジネスモデル分析にSSMが利用できることを示していたと思う.

Weltanschauungについての面白そうなreferenceがあったので,これをメモしておく.

ref. Checkland and Davies(1986): "The Use of the Term 'Weltanshauung' in Soft Systems Methodology", Journal of Applied Systems Analysis, Vol.13, 1986.


この時点での雑感と経過


再びセッションの部屋から出て,練習.2回通しの練習をして,本番へといく.


S2-2-5 Murata "Influence of new mobile tools on communication"


最近流行のネットワークアプローチ(graph theory)を使った,コミュニケーション・メディアによる親密度(friendship)の変化に関する研究.

メディアには(1)face-to-face,(2)cellular phone,(3)e-mailの3つをモデル化し,(i)time,(ii)place,(iii)verbal,(iv)vocal,(v)facialという制約から特徴付けている.

結論としてはcellar phoneがfrienedshipについて密なコミュニケーションネットワークの形成を促す(影響を与える)ことを示していた.

質疑ではシミュレーションの初期状態についてと,friendshipの定義(どういう状態をfriendshipがあるとするのか)についてが出ていた. # 僕自身としてはこのリザルトに新規性があるのかという先行研究についての言及がなかったので,新規性においてどうなのかが疑問に思った. ## この手のsocial simulationって非常にたくさんあるはずなのに,referencesでふれられていないので(まだRegular Paperのほうは目を通していないので言い切れないけれど)


S2-2-6 Chujo "'Project-based Collective On-the-Job Training' Methodology using Soft Systems Methodology"


自分の発表の直前だったので,まったく記憶に残っていないので,Regular Paperを読んで,まとめます.


S2-2-7 Goto "Organizational Learning Oriented Model of Organizational Adaptation"


話すほうは割とよくできた. # センセも最初の国際会議であれなら十分といっていただけた

が,質疑応答の方がアレ.英語聞き取れない.3ついただいた質問の全部聞きなおした.トレーニングが必要だと痛感.いただいた質問は(1)この研究の応用はできるの?と,(2)今後の研究の方向性は?と(3)Double-loop learningの話をしているけど,これで組織学習をカバーできているのか?.

(1)については,基本的にはこの研究は理論的な研究であるが,本質的な(もしくはファンダメンタルな)レベルでのマネジメントへの含意は十分にあり,組織学習の実現におけるアドバイスを提供できていると私は思う,といいたかった. # これはある程度いえた気がする

(2)については,アイディアとしてはある.基本的にはさらなる理論的発展を狙っていきたい.と答えたけど,本当はアイディアとしてはあるのだけど,ここでは短く説明することは難しい.理論的発展とともに,さらにその成果として介入・改革における組織学習をマネジメントするという視点からマネジメントへのアドバイスを提供できるようにしていきたい,といいたかった. # けど想定問答集すら作っていなかったので,即興で答えるのは前のが限界だった.

(3)については,質問を取り違えていてdouble-loop learningしか実装していないの?(とくにindividualしか)ということかと思って,いや違います,すべて含まれていますよ,と答えた.が,そうではなくて質問はloop learning概念が組織学習のすべての概念をカバーしているのか?という意図の質問だったようで,センセが“発表者のボスですが”と仕方なしに(おそらく)ヘルプをしてくださって“組織学習概念にはいろいろあるけどここではArgyrisのを使っているのです”と答えていただいた.いや,質問の意味さえしっかり捉えることが(英語的に)できれば,別に普通に答えられる(むしろ3つの中で一番イージーな質問)だっただけに,反省した. # もしぼくが意味がわかって答えるなら,たとえばFiolが組織学習概念を分類していてlowerとhigherのレベルに分類しているが,その概念はこのモデルではsingleとdoubleで実装されている.これはArgyrisの組織学習の概念で,Andoが組織地図に関しての論文中で述べているように様々な組織概念の中でも柔軟で広範囲をカバーしているが概念であると,答えられたらよかった.


Systems Familyのつどい


1日目のセッション後,三宮の中華料理屋さんにて開催されたつどいに参加させていただいた.メンバーはTakaharaセンセ,Kijimaセンセ,Deguchiセンセ,Satoセンセ,Takahashiセンセ,Shibaセンセ,Tanakaセンセ,Xuセンセ,Liuセンセなどなんていうか全員論文読ませていただいたことがありますな感じの豪華メンバー. # 漢字にしないのはロボット対策

Deguchiセンセとお隣の席に座らせていただいて,研究のお話をさせていただいた.非協調下での組織学習(というかは内部モデルの書き換え)についてご興味がおありだそうで,僕の研究は協調下の話だよねーということを.ちょっと面白そうなので,散歩のときに考えるネタにしておくことにした. # 昨日の時点では非協調下を想定すると,つまりは競争的で依存的な関係を記述することになって,環境形成的な組織モデルとなるな,というところまで考えた.

なお,この時に(1)SOARSの次期バージョンはかなりすごいから!という話と(じゃあ,来年4年生にあがるひとにどうですかね,できればB4,M1,M2でチームを組める程度の人員をさくと面白そうですよねといったかんじに),(2)WCSS 06 The First World Congress on Social Simulation, Kyoto, JapanのCall for Papersのプリントを研究室にもっていってねという使命をいただいてきた.あと修士のときのセンセの写真を見せていただいた. # お変わりない!

その後Takaharaセンセとお話させていただくチャンスをいただいたので"A Formal Theory of Organization"を読ませていただいて,今回の研究においても大変参考にさせていただきました,とお礼をさせていただいたところ,大変喜んでいただけた.かけないことが多いので電子的記録としてwebに記録させるのはやめておくけど,このFamilyが超個性的で面白いのはTakaharaセンセがそうであるからに違いないことは確信した. # Takahashiセンセ,Takaharaセンセ,僕という構図で写真も撮っていただきましたので,Takaharaセンセを見たい人はいってくれ


今日もコーラを飲んで寝る


たぶん宿泊費に入るからただで飲めるコーラ.んまい.


S2-3-1 Murata "Landscape Model with Dynamic Parameters -Alliance Formation of Enterprises influenced by the Consumer Behavior-"


アブスト読んだ感じだとFlexibility Functionを導入している誰かさんの研究と同じっぽい感じだったので,聞いてみた.でも発表を聞いた限りでは同じではなさそうだった.一応Regular Paperを読んでいないのではっきり言及できないけど,この日の夜のディナー・クルーズのときにも少しお話させていただいて確認した感じだと,パラメータ(フラストレーション値)を動的に決定するために消費者の評価を導入したとのことでした.
センセがご質問されていたけれど,リザルトが同じ(旧来のLandoscape TheoryとProposedなLandscape Theoryとで)とき,拡張の意味があるのかは疑問符が残るところではある. # 必要がないならシンプルなほうがよいに決まっているから ## 明日(05/11/18)のinformalなアレでもお話を聞かせていただけそうなので,とりあえずregular paperを読んでおこう


S2-3-2 Saga "Collaborative Filtering versus Personel Log based Filtering: Experimental Comparison for Hotel Room Selection"


類似性を比較して推薦(recommend)をだすシステムを考えるときには,類似性を評価して全商品データからフィルタをした結果を出力する必要がある.

Collaborative Filteringというのは,というところまで書いて内容を覚えていないことに気づき,Extended Abstractにものっていないことがわかったので,Regular Paper読んでから書きます.


疲れたので今日はここまで


新幹線でレポートを書いてきた.10時過ぎとかなのにぼくの席(3列シート)の行の3人ともノートPCだしてずっと作業していた.ありそうでない風景だと思った.


ポートピアホテル神戸ハック(2)


ポートピアホテル神戸からは三宮と新神戸へ送迎バスがあって,無料で送迎してもらえるのだけど,乗車の際にとくにチェックをしていないので普通に無料バスとして他のホテルの滞在客も利用できている.

他の手段としてはポートライナーというユリカモメ的電車があるのだけど,それは三宮までで240円するし,時間的にはバスと同じくらいなので断然無料送迎バスの方がお得です. # 本数は20分に1本なのでそこだけがバスの弱点


真のDead line検証


配布されたCD-ROMの中で生のpdfの日付から察するに05/10/27がギリギリだったっぽい.ちなみにぼくが05/10/07にReviseしたのはちゃんと反映されていた. # 05/11/18付で

他のファイルも05/11/18付だったので,この日が作業日か.たしか05/11/17にonline submitが実際にcloseしているので,これは確度のある推測だと思う.

Posted by ysk5 at November 18, 2005 01:42 AM

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