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March 07, 2006
酒見 賢一(2001) 語り手の事情,文藝春秋
「語り手の事情」[1]を買ってきたその足で読了.酒見賢一は「後宮小説」しか読んだこと無いけど,普通に歴史を題材にする作家さんだと思っていた.で,このエロ具合.まあこれも歴史を題材にはしているのだが.
# エロさについてはあとがき中に“だいたい私が『語り手の事情』を書いたとき,今は故き父が,「ポルノなんて書きやがって」と半分怒って……”とある通り.
物語の特徴としては語り手という物語を駆動させる第3者的視点(メタ的視点)を意識しているというところにあって,最後に語り手自らが物語に参画する(物語られるもの,主人公になる)というところに面白さがあるとおもう.
この構造は例えば「図書館の海」[3]なんかで使われているような気がするけれど(狂言回しとしての存在からサヨコへ),「語り手の事情」のほうがエロという視点(あるいは視座)をより意識させるという素材において利用しているので数段うまくいっていると思う.
500円でエロくて物語で実は一直線の恋愛小説を買えると考えると,わりと悪くないと思う.酒見さんは読み口もよいので一気に読めると思う.
ref.
[1]酒見 賢一(2001) 語り手の事情,文藝春秋.
[2]酒見 賢一(1993) 後宮小説,新潮社.
[3]恩田 陸(2005) 図書館の海,新潮社.
Posted by ysk5 at March 7, 2006 05:39 AM
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