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August 14, 2004

すべてがFになる

森博嗣,「すべてがFになる」,講談社,1996年.

西尾維新のつぎは森博嗣で.

理系ミステリっていわれているけど,むしろ哲学的.
あ,その意味で理系的なわけか.scienceは哲学生まれですからね.

「思い出と記憶って,どこが違うか知っている?」犀川は煙草を消しながら言った.
「思い出は良いことばかり,記憶は嫌なことばかりだわ」
「そんなことないよ.嫌な思い出も,楽しい記憶もある」
「じゃあ,何です?」
「思い出は全部記憶しているけどね,記憶は全部は思い出せないんだ」
(p.211)
「自分の人生を他人に干渉してもらいたい.それが,愛されたいという言葉の意味ではありませんか?犀川先生…….自分の意志で生まれてくる生命はありません.他人の干渉によって死ぬというのは,自分の意志ではなく生まれたものの,本能的な欲求ではないでしょうか?」
(p.361)

Posted by ysk5 at August 14, 2004 12:40 PM