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August 15, 2004
笑わない数学者
前の2冊で書かれているテーマについての関連記述をメモ.
■役に立たない
これは前のと同じようなこと.
「鶯の美しい声に,何の意味があろう?森へ行ってきいてみるがよい.何のためにお前たちは鳴くのかと.何の役に立つのか,とな.
すべての美は,それを尋ねる者には,役に立たぬものだ.では,哲学者は何の役に立った?存在の複雑さをベクトルのようなものに置き換えて何になる?心理学
者は何の役に立ったかな?解放と処方を入れ替えて,絶叫と抑制の多角形の頂点を1つ移動したに過ぎないではないか.物理学者は,世界中の金を集め,統合と
いうただ1つのマジックさえまだ完成させていない.宗教家,それに政治家はどうだ?戦争が終わらないように敗者を援助する,いやそう言って握手だけの約束
をする.誰が何の役に立った?1人でもよい,役に立ったものを思い浮かべてみたまえ.よいか……,少なくとも数学者だけは,自分たちが役に立つなどとは決
して言わなかった.なぜなら,それが我々の唯一の真理であり,名誉なのだ……」
(p.60)
■干渉について
四季の言葉と比較せよ.
「これは,君たちの言葉で言えば防衛だが,私の言葉では侵略だ.人間の最も弱い部分とは,他人の干渉を受けたいという感情だ.自己以外に自己の存在を求めることが,人間の本能としての幻想だ.この起源は,おそらく,単細胞の生物に遡るものだろう」
(p.159)
Posted by ysk5 at August 15, 2004 01:42 PM