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August 22, 2004

四季 秋

森博嗣,「四季 秋」,講談社,2004年.

つぎは子育てのはなしなんだろうか.

一方では,そうした冷静な認識を包み込むようなイメージとして,自分自身の個の存在を感じるのだった.他の言葉でいえば,それは「孤独」だろう. 自分は一人独立している.他人ではない.その存在の自覚が,かつての幼い自分と,現在の自分とを比較するのだ. 孤独とは,寂しいものではない. 自分がここにいる,という位置を, その足許の確かさを,見つめること.だから,孤独だと冷静に感じることができるのは,自分の足許の確かさを知っているものだけで,その状況自体が幸せといえる. 愛する人を見つめることは,結局は,孤独を知ることであって,そして,きっと,自分を知ることになるのだ. (p.214)

Posted by ysk5 at August 22, 2004 11:52 AM