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September 03, 2004

増補<私>探しゲーム

上野千鶴子,「増補<私>探しゲーム」,筑摩書房,1992年.

上野千鶴子はカックイイな.

これとか,ヤバイでしょ.

記号学の教えるところでは,記号を媒介とするコミュニケーションは,次の4項---エンコーダー(発信者),デコーダー(受信
者),コード,メッセージ---の連関として表すことができる(図��-1).百貨店は大型小売業資本をエンコーダー,顧客をデコーダー,消費文明をコー
ド,商品をメッセージとする記号装置である.レヴィ=ストロースにならって,分析のためのモデルが成立する水準を「当事者のモデル」と「観察者のモデル」
に分けて考えるとすれば,当事者のモデルは,さらに,エンコーダーのモデル(百貨店側)とデコーダーのモデル(顧客側)の2つに分けることができる.百貨
店の経営戦略はエンコーダーのモデルとデコーダーのモデルのズレをいかに埋めるか,もしくはデコーダーのモデルの側にいかに誘導するか,にあると言ってい
い.両者を統合するものとして,研究者は,客観的な「観察者のモデル」を作り上げることができるが,それに寄与するのが記号学の概念装置である.「観察者
のモデル」が真に客観的であるかどうかは,読者の判断にまつほかない.(p.193)

このくだりも,なるほど.


ここにあるのは,有権者の自己検閲,というメカニズムである.有権者は,自分で判断を下してみて,それが多数派に属するか少数派に属するかを即座に知らさ
れる.少数派に属すると知った有権者は,自分の判断が間違っているかもしれない,と思う傾きがある.多数派と知れば,安堵しがちだ.断固として少数派であ
ることに踏みとどまっていられる人々は,そう多くはない.根拠が不確かなものについての判断なら,なおさらである.
しかし意見形成は逆の方向に働くことある.なだれを打って絶対多数派がつねに形成されるとは限らない.多数派と少数派の割合が,あまりに一方に傾きすぎる
と,これは不公平だと考えて,賛否の意見がバランスする方向に動く場合もある.ことに差が小さくて,一票の有効性がおおきいと考えられる場合,有権者は力
の行使を意識することができる.
こういう有権者自身の態度決定へのフィードバックは,選挙のたびに大新聞が実施する投票予測の事前発表の効果をめぐって,指摘されてきている.楽勝だと言
われたばかりに有権者離れを起こして不測の落選をした候補者や,当落スレスレ予測が大量の同情票を集める例があって,予測のフィードバックが予測自体を変
更する,というパラドックスが生じる.そして,この意思決定者自身による意思決定過程における自己の軌道修正,というメカニズムこそが,大衆民主制の核心
なのである.
(p.209)

Posted by ysk5 at September 3, 2004 11:47 PM