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September 12, 2004

東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ

遙 洋子,「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」,筑摩書房,2000年.

このタレントさんのことは知りませんが,非常に面白かった.
はさんだ付箋の数がおもしろさを物語る.
”ケンカを学ぶ”というよりは上野千鶴子に”フェミニズムおよび知的説得,研究のしかたを学んだ”のではないか,と思った.

こんど”大学でどんなことやってるの?”とか聞かれることがあったら,この本を読んでもらうことにしよう.

「オリジナリティは情報の真空地帯には発生しない!」
(p.144)

学問は訓練であること.社会学は枠組みを疑う訓練.法学は法という枠内での訓練.それぞれの学問にそれぞれの専門的訓練があること.「疑う」という訓練を積むことで,枠を超えた発想が可能になること.
そして,と,教授はつづけた.訓練よりもっと重要なことがある,と.
直観力.
なにか,もやもやとした,物事を見え難くしている環境を通して,それでもそのもやもやしたものを見透かしてその向こうにある本性のようなもの,正体のような核心のようなものを見抜く力.これが,直観力.
(p.204-205)

言葉によってでしかそこに存在しない現実に,抵抗する術もまた,言葉である.
だから言葉は偉いのだ,ではなく,だから言葉を謙虚に受け入れるしかない.しかし,その無力感とともに,可能性として存在するのもまた,言葉である.
世界が言葉でできているのなら,言葉で世界は変わる.
会話によって我々は世界のありようを確認し,そして,変更する.(同前)
フェミニズムはそこに賭けた.その言葉は,世界の見え方を変えた.自然や文化ではなく,そこに権力が存在すると.
(p.232)

Posted by ysk5 at September 12, 2004 03:34 PM