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October 23, 2004

ヘッセの読書術

ヘルマン・ヘッセ(著),フォルカー・ミヒェルス(編),「ヘッセの読書術」,草思社,2004年.

尿漏れ必至のすばらしい本.
本を読むための本,てやつだ.

このような人は,一冊の本を読む場合,音楽を聴いたり,景色を見たりするときとまったく同じように,何か新しいもの,自分をよろこばせるもの,忘れ難いも のをそこから得て,それによって以前よりも少し豊かに,楽しく,あるいは賢明になりたいということ以外はどんな関心ももたないであろう.そしてこの新しい もの,この生活の充実と生活力の強化を与えてくれたのが,詩人であるか,哲学者であるか,悲劇作家であるか,機知に富んだ漫筆家であるかなどということは ほとんど問題にしなくなるであろう.この立場には,普通わたしたちが考えているよりもずっと簡単に到達できる.ただ,先にもいったような,気後れや軽蔑心 から本を避けるというくだらない態度や,何でもすぐ否定する高慢な態度や,なんでも知っているという意識などを捨てるだけでよい.こうすることで自主的な 判断力を得るための決定的な一歩を踏み出してもう目的まで半分以上進んだことになる. (p.10-11)
美しい絨毯が床を,高価な壁掛けと絵が壁を飾っていようとも,本のない家は貧しい.そして自分で本を知り,所有し,愛する者だけが,自分の成長してゆく子 どもたちの読書欲を理解し,実際の助言を与えることができるし,子どもたちが低俗な作品を読むことや一流の文学作品の早すぎるつまみ食いから守り,彼らの 若い魂の前に精神と美の王国がゆっくりと展開されてゆくのをともに体験することができる.このような人は,『ファウスト』や『緑のハインリヒ』や『ハム レット』を,はじめて息子に手渡し,この息子を,共同所有者として,また最も歓迎する客人として,自分の蔵書室に迎え入れるとき,このような作品をそれま でとは違った新しいものとして,それまでに読んだときよりも二倍もすばらしいものとして楽しむことができるであろう. (p.37-38)
次は復刊したガラス玉演技にいきたいとおもう.

Posted by ysk5 at October 23, 2004 11:46 AM