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December 14, 2004

九つの物語

J・D・サリンジャー,中川 敏(訳),「九つの物語」,集英社,1977年.

読んでいて感情を呼び起こされる本だ.
かなり高評価.

読後に残る感覚の絶対値が大きい.
寂寥感であったり,悲しみであったり,あきらめであったりするわけですが.

あと多分だけど時代感覚に優れた人だったんであろうと思う.
その意味で文学人.

ぼくは笑い男のことを超人的な能力を備えたぼくの先祖のようなものだと思ったりする. (snip) だが,その当時ぼくがしなければならなかった一番肝心なことは用心の上にも用心することだった.つまり,茶番に調子を合わせ,歯を磨き,髪をとかし,どんな犠牲を払ってでもぼくの生まれながらのおそろしい笑いを押し殺すことであった. (pp.88)
「ひとつに壁がもうひとつの壁に何ていったか?」 (snip) 「角のところで会おう!」 (pp.135-136)

Posted by ysk5 at December 14, 2004 10:47 PM