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February 11, 2005

工学的シミュレーションと社会科学的シミュレーション

.systakaな人がシミュレーション系の研究で各先生からいじめられるわけがわかった.
シミュレーションっていっても,いわゆる工学系のものと社会科学系のものがあって.
.systakaな人は社会科学系のものが多いのだな.
で,2つにおいては目的において違いがあって,これについてうまく説明ができないので,いじめられると.
シミュレーションの目的には,予測と説明がある.
予測は,シミュレーションから意思決定のサポートを得ることを目的としているので,現実とのリンク,解釈がクリティカルな問題として存在する.
たとえば在庫量のシミュレーションで,結果からどのくらい注文すればいいかがわからないと,お話にならない,というはなしとほぼ同じこと.
説明はモデリング自体に意味があり,モデルを構築することで事象やメカニズムについての理解を深めることに目的がある.このとき,現実との対応について,
とくに表現・解釈の問題は主要なissueとはならないことがある.
たとえば複雑系のシミュレーションとかでは,その挙動についての洞察が得られることにシミュレーションの意義がある.
で.
一般的には工学的なシミュレーションといったら,予測を重視する.一方で社会科学的なシミュレーションといったら,説明を重視する.
.systakaな人の研究ではメカニズムの理解を主要な目的としてあげているので,このときにメカニズムについての理解が得られるモデルであれば,現実
とのリンクを考えるとき,その表現力という面において,モデルに弱点があったとしても,それが研究の弱点になることはありえない.
だけど,この辺の話をおさえないで,質問に対して回答するから,いじめられてしまうと.
あと,簡単に謝るのはよくないな.
たとえば考慮していなかったことを指摘されたときに,それがあたかも考慮されていないとまずかったかのように感じて,無意味に謝ることとか.
仮定は仮定です,といえばいいのに.
何を考慮するかは,どのような目的を持って,対象をどのようにモデル化するかに依存するという面が大きいと思うのですよ.
と,いま読んでいる本を読みながら,考えた.

Posted by ysk5 at February 11, 2005 09:37 PM