« ぶつぎれな睡眠しかできない件について | Main | 塩沢(2000) »

April 18, 2005

四日間の奇蹟

浅倉 卓弥.「四日間の奇蹟」.宝島社,2004年.

このミスの第1回大賞の作品.
これミステリーとしたとき,ミステリーであるとは,自らがミステリーであると規定することによって決まるのではないかな,と思った.
ともあれおいしゅうございましたが.

喪失の悲しみを越えて,獲得の悦びに達するためには,生きているというそのことを強く感じることと,自分の未来に手を差し伸べて生きようと思うこと.
この2つが奇蹟を生むのかもしれませんね,というおはなしだと思う.

運命に責任は生まれようがない.運命ってのは,決まっているものだから.
しかして,そういった緩やかな救いのもとに,幸せって生まれるのかもしれない.
生かされている,けれども,生きている.こう考えるのは伊坂さんのラッシュライフとも同様かな.

あたしはでもね,誰かの運命に誰かが責任を負うことなんて,本当はできないんじゃないかなって,時々そんなことを思います.
pp.134

肉体という装置によって,確かに僕らは生かされている.だがやはり,生きているのは僕自身なのだ.そして僕は,僕が生きているという事実に,それを前に進めるために,僕自身の手を差し伸べるべきだった.
pp.498

Posted by ysk5 at April 18, 2005 10:21 AM

Trackback Pings

TrackBack URL for this entry:
http://ysk5.s58.xrea.com/mt/mt-tb.cgi/473

Comments

Post a comment




Remember Me?