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May 04, 2005
マルヤマ(1984)
マゴロウ・マルヤマ.佐藤 敬三(訳).”セカンド・サイバネティクス”.現代思想,Vol.12-14,pp.198-214,1984.
サイバネティクスの偉い人であるところのウィーナーがネガティブ・フィードバックに拘泥しているのはどうだろう.むしろポジティブ・フィードバックに目を向ける必要があるのではないか,という論文.
なぜセカンド・サイバネティクスと呼ぶのかについて.
逸脱増幅的な相互的因果関係(ポジティブ・フィードバック or 正のフィードバック)についての研究を,ネガティブ・フィードバックの研究と区別する意味でセカンド・サイバネティクスと呼ぶとするらしい.
ちょっとこの記述は気になるのでメモっておく.
両タイプとも,相互因果的関係をもつシステムであるから,言いかえれば相互フィードバックのシステムであるから,両者はサイバネティクスの主題に含まれ
る.しかし,1960年前後までは主に逸脱解消的システムがサイバネティクスの表題の下で研究されてきたので,そのような研究をファースト・サイバネティ
クスと考え,逸脱増幅的な相互的因果関係の研究を「セカンド・サイバネティクス」と呼ぶことにしよう.逸脱解消的相互因果過程は「形態維持」とも呼び,一
方,逸脱増幅的相互因果過程は「形態生成」と呼ぼう.
マルヤマ(1984) pp.200
サイバネティクスの枠組みは本質的に複雑な系とその振舞いの記述に耐えうるものであると,そう書かれているように思える.
逸脱増幅的相互因果過程の光の下で,因果の法則は今や,同じ条件が異なる結果を生むかもしれない,と述べる形に修正される.この修正は非決定論や確率論の
導入なしでも出来ることに注目することが重要である.逸脱増幅的相互因果過程は決定論の内部においてさえ,因果の法則を修正することを可能にする.
マルヤマ(1984) pp.201
Posted by ysk5 at May 4, 2005 04:04 PM
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