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June 03, 2005
松井(2001)
松井 啓之.”社会システムとゲーミングシミュレーション”.情報処理学会研究報告 知能と複雑系,No.2000-ICS-123,pp.49-54,2001.
ゲーミングシミュレーションの紹介と,マルチエージェント系(多主体系)の研究との関連と,これらを併せて研究を行うことで,相乗的な効果が見込まれるということについて述べている.
ゲーミングシミュレーションの定義.
これはおそらく,かなりざっくりとした,あまり焦点を絞っていない,中立的な定義だな.
Greenblat[9]によれば,ゲーミングシミュレーションとは,ゲーム的側面をもつシミュレーション,すなわち,シミュレーションの文脈内に人間が
プレイヤーとして参加し,全面的にせよ部分的にせよ,そのプレイヤーの意思決定によって動作するようなシミュレーションのことである.
松井(2001) pp.50
ゲーミングシミュレーションでは,人間は自律したエージェントとして振る舞い,ゲームを行っていき,エージェントの行動による相互作用の結果,現象が発生するとする. # 現実的には,至極当たり前だけど,至極当たり前であるようにモデル化するのは難しい
そのため,現実社会を抽象化した上で,現実社会を手続き型のアルゴリズムによるシミュレーションではなく,役割と環境を与えられた自律したエージェント
(=プレイヤー)の相互行為から成り立つシミュレーションである[13].プレイヤーには,演ずるべき役割(=ロール),達成すべき目標,行うべき活動,
何をなしうるかの制約,そして,各プレイヤーの行動やシステム内での他の要素(偶然を含む)の作用の結果としての利得等が与えられる.
松井(2001) pp.50
で,どういう領域にゲーミングシミュレーションは適しているのかについての考えが以下.
ぼくはぼくの研究に関して,特に(3)の目的において,ゲーミング
また,ゲーミングシミュレーションによって,現実の状況に特有の多元的な複雑性を導入し,理解することが可能になると考えられることから,一般的にいっ
て,(1)人間の反応や相互作用が予想できなかったり,人間が研究対象のプロセスの一部となっているような探索型研究に,(2)専門家の考えを引き出すた
めに,(3)状況の本質,特に競争的状況の本質を理解する学習あるいは研究に適していると考えられる.
松井(2001) pp.50
のアプローチが有用ではないかと考えている.
わかりやすい例でもってすれば,Beer
Gameのようなことをすることで,その状況およびシステムについて理解ができる.それはつまり,パースペクティブや価値観を共有すること(もしくはアコ
モデートすること)につながると思っていて,これは介入においてとても重要なことであると.
まとめると,Beer Gameについて理解してBeer Gameをするのと,Beer Gameについて理解せずにBeer
Gameをするのでは,まったく結果・成績が異なるでしょう,ということだ.
Posted by ysk5 at June 3, 2005 09:31 AM
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