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June 11, 2005
太田(1996)
太田 肇.”有機的組織と官僚的組織:どちらが人間的か”.組織科学,Vol.29,No.3,pp.15-24,1996.
さいきん有機的組織がブームとなっていて,すばらしいものであると喧伝されているけれども,それってばやはり一つのパースペクティブにおいてでのことではないであろうか?という研究.
いい組織というのを成員個人の視点から,有機的組織と官僚的組織を比較することで,考えている.
有機的組織というのは,こういう側面もあるのではないか,という記述.
system as an organization or organismなmetaphorだな.
ところが有機的組織では,企業全体の目的に貢献することが要求され,責任の範囲も限定されていない.いわば無制限のコミットメントが要求されているわけで
ある.そのため,組織に対しては限定的に関与し,専門の仕事の方で最大限に能力を発揮するというプロフェッショナル的な働き方をすることが困難になるので
ある.
太田(1996) pp.19
官僚的組織には,こういういい面もあるのではないか,という記述.
制度や規則によって組織の側の権力行使を制限し,個人の権利や自由を保障するこのような機能は,官僚制の「立憲的」(constitutional)側面ということができる.
太田(1996) pp.20
本題とは関係のない話だけど,これは官僚制の特徴としてあげられていて,このある種の頑固さというか硬直が,組織の適応においても特徴としてみることができそうだというふうに考えている.
結論としては,まあ,一長一短どちらもあるぞと.
むしろ専門的な職業においては,官僚的組織の方が有利かもだぞと.
すなわち,組織と個人の目的や利害が基本的に一致しない場合には,パワーで劣る個人にとって,対立を前提にした官僚制組織のほうが有機的組織よりも有利なことが多いということである.
太田(1996) pp.23
Posted by ysk5 at June 11, 2005 12:16 PM
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Comments
こーいう話は大好物です.
pp.23の結論がどうやって出てきたのか気になる…
Posted by: senoby at June 11, 2005 10:38 PM
では,お答えしよう.
専門的職業or notな人で層別して,組織について重視していることに関してアンケートをとり,(1)自律性の重視と(2)仕事・雇用・地位に関する立憲的保障の2種類の項目から統計的処理を行っています.
しかしここでの専門的職業ってのは,研究者とか建築士とかITerとかの激しく雇用不安なひとびとを選んでいることを明示しておきます.
Posted by: ysk5 at June 11, 2005 11:47 PM