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June 14, 2005
桑田(1991)
桑田 耕太郎.”ストラテジック・ラーンニングと組織の長期適応”.組織科学,Vol.25,No.1,pp.22-35,1991.
ストラテジック・ラーンニングという概念を導入することで組織の長期適応について考えている.
根源的知識というのはある種のシステムの基本定義のような気もするし,経験からの学習によって獲得されるといういみでは知識創造(Knowledge Creating)な側面をもっているような気もする.
企業の長期適応パターンには,ある特定の戦略的能力の下で展開される一連の戦略行動のパターンと,戦略的能力そのものの変化を伴って現れる戦略行動のパ
ターンとがある.この論稿で議論する「ストラテジック・ラーンニング(Strategic
Learning)」とは,戦略行動をデザインする際の,基本的なものの見方・考え方を規定する組織の根源的知識が学習され,戦略的能力の刷新をもたらす
ような組織学習である.この戦略的能力は,その企業に固有の能力であり,自らの経験を通じてしか学習-蓄積できない,というのが本稿の基本的スタンスであ
り,その学習プロセスを解明することが本稿の目的である.桑田(1991) pp.22
根源的仮定について.
根源的仮定というのはある種の組織文化のような側面をもっているのかな.
戦略行動をデザインする際に,その組織独特の論理が観察されるのは,そのプロセスがコーポレート・レベルの知識によって構造化されるからであり,根源的仮
定の集合の特徴が反映されるからである.換言すれば,組織の戦略的能力を構成する根源的要因は,この根源的仮定の集合(a set of basic
assumptions)なのである.
桑田(1991) pp.24-25
学習の層別というかクラス分け.ビジネス・ラーンニングとストラテジック・ラーンニングの2つの学習を考える.
ここでわれわれは2つのタイプの長期適応と,それに対応する組織学習を区別することができる.第一は,「ビジネス・ラーンニング(Business
Learning)」で,所与の根源的仮定の集合の範囲内で,ビジネス・レベルの知識が学習される組織学習,第二は根源的仮定レベルの知識が学習され「ス
トラテジック・ラーンニング(Strategic
Learning)」である.前者は,直接観察可能なレベルで戦略行動の変化をもたらすのに対し,後者は,組織が戦略行動をデザインする際のものの見方・
考え方の変化をもたらす.
桑田(1991) pp.25
このモデル化についてはそうですか,といった感じなのだけど,関心があるのは知識蒸留過程がどのようなメカニズムで実現されているかについて.
このような状況のもとで,組織が根源的仮定を学習しうる一つの可能な方法は,ビジネス・レベルの知識をコーポレート・レベルの知識に変換し,さらにそれら
を根源的仮定に変換することである.この意味でストラテジック・ラーンニングは,一種の第2段階学習である.本稿では,ビジネス・レベルの知識が,コーポ
レートレベルの知識を経て根源的仮定に変換される過程を,「知識蒸留過程(Knowledge Distillation Process)」と呼ぶ.
桑田(1991) pp.27
ストラテジック・ラーンニングの過程として
- 自然な流れの中で
- リッチな経験からの学習
- 戦略的知識の蒸留
- 新しい仮定の定着
たとえば考えられる今後の研究というのは,このストラテジック・ラーンニングを促進するような方法論の開発とかになるのだろうか.読む限りでは,実際の介入においての方法論はまだないようだし.
また,論旨とは別に,以下が気になったけど,これはいわゆる”気づき”が高次学習には必要だよという,良くあるはなしですか.
例えばWilson等の研究[1986]によれば,組織が既存の認知枠組の束縛から解放されるには,(1)見なれない形式のデータ,(2)参加者間のコンフリクト,(3)新しいトピックスそして(4)予期されざる問題発生経過等を経験する必要があるという.
桑田(1991) pp.28
この論文からの枝葉.
- Cohen, W. M., and D. A. Levinthal. "Absorptive Capacity: A New
Perspective on Learning and Innovation". Administrative Science
Quarterly, Vol.35, No.1, pp.128-152, 1990. # 自己組織化におけるindexの作成能力について - Wilson,
D., R. Butler, David Cray, D. Hickson and G. Hallory. "Breaking the
Bounds of Organization in Strategic Decision Making". Human Relations,
Vol.39, No.4, pp.309-332, 1986. # 高次学習のための条件付け,eなしなのでISSN:00187267,理工にある
Posted by ysk5 at June 14, 2005 08:12 AM
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Comments
チーズ蒸パンにはまり、チーズ蒸パンにクリームたっぷりイチゴ乗せをして、体を壊したそうです。
チーズ蒸パンはスポンジケーキよりも空気穴が小さいという優れた技術が詰まっていて、あのしっとり感が最高だと言ってました。かなり高カロリーだがお試しあれ!!笑
Posted by: FRYD at June 14, 2005 11:29 AM
貴重な桑田センセ情報ありがとw
かなりお茶目ですな.
つか,いまFRDYタンのとこなんだー.
http://www.tmu.ac.jp/graduate/2005/02_07.html
Posted by: ysk5 at June 14, 2005 10:28 PM