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April 24, 2005

出口(2002)

出口
弘.”システム方法論---エージェントベースアプローチによる社会経済システム論の再構成---”.社会・経済システム,No.23,pp.22-
28,2002.
社会科学の領域におけるエージェントベースアプローチの方法論的な検討が行われている.
いわれているvalidityの取り方がさいきん確かに有効であると思ってきた.
それは,結局のところABMなそれの指向するものって,意思決定支援であるから,これを実現したいと考えているときに,単一のモデルからではなく,それぞ
れのアプローチによるモデルから接近することで,問題関与者およびモデル構築者自身が知見を得つつ,意思決定過程にinvolveされて,よりよい意思決
定とともに,よりよい合意・同意のもとに意思決定が実現することが期待できるような気がするからだ.
そして,これこそがいい意思決定であり,パフォーマンスの実現が期待できるものであろうと.

ABMによる社会経済システムのモデル化が上のような意味で妥当性(Validity)を持つかについて我々は十分な方法論を必要とする.
出口(2002) pp.27

さらに筆者等によって主張されている,シミュレーションと数理モデルとゲーミングという3つのモデルを相互に比較しながら発展させていく技法がある[11].出口(2002) pp.27

これは現在のABM/ABSな研究で多分に見られる傾向があると思う.
結果も大切だが,それを生み出した方法もまた非常に大切だ.結果のみ,それっぽくて気持ちの良いものが多いけど,なんのための研究か.
確固たる方法論の構築を指向した研究が必要で,それが欠けている.

テクニックではなく,研究へのアプローチの意味と限界,思想が問題とされる必要がある.方法論のないテクニックだけのアプローチは,既に存在している研究
プログラムに依拠していることを意味している.だがその研究プログラムがどのようにして成長してきて,オーソライズされたかについての反省抜きの技術は,
学問のための学問を縮小再生産するだけである.
出口(2002) pp.27

Posted by ysk5 at April 24, 2005 09:55 PM

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