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April 27, 2005

何のためのソフトウェア開発?---目的設定におけるメタ的視点の必要性---

む.
酔っぱらっているし,現在も補給中なので,長文いくよ.
きょうJASMINがらみで,”経営からみた情報システムの課題と解決策”という演題で,日立公共システムエンジニアリング株式会社取締役社長の正坊地
氏の講演会をきいてきた.
なんか途中ですごくねむくなって大変だったのだけど,質疑応答のときにさせていただいた質問をもとにメモをしておきたい.
講演の中で,藤本センセの”能力構築競争”の深層の競争力強化の概念をソフトウェア開発に当てはめて,日立公共システムエンジニアリングとしては”業務ソ
フトウェア開発のもの造り力の強化”を目指していきたいという,おはなしをいただいた.
しかしぼくはこの議論に違和感を覚えた.
たしかに能力構築競争における自動車産業の深層の競争力強化の概念と,ソフトウェア開発のそれとは同型性が認められるだろう.この点については,きょうお
はなしをきかせていただいて,気づかせていただいたので,非常にありがたかった.
がしかし,このはなしは,論ずるべきレイヤーにおいて違和感がある.
自動車産業での能力と,ソフトウェア開発産業での能力について考えるとき,ソフトウェア開発産業での能力を”ソフトウェア開発力”ととらえていいものだろ
うか?
ぼくは明らかにソフトウェア開発産業での能力は”問題解決能力”でとらえられると考えられる.
それは,”何のためのソフトウェア開発?”という問いに答えることで,おのずと明らかになる.
ぼくは,ソフトウェアの開発はあくまで手段であり,その上位の概念としてそのソフトウェア(開発)から実現したい目標というものが存在し,これこそがソフ
トウェア開発会社が提供するサービスの内容であるべきだと考える.
とするならば,目指すべきはソフトウェア開発力ではなく,問題解決能力であろう.
そして企業目標である”お客様の信頼にこたえる新たな価値を提供し,公共分野のエクセレント・ソリューション・カンパニーになる”ことを実現するために
は,メタファとしてはたとえば野中センセの知識創造プロセスとかのほうがベターなのではないか. #
そのプロセスの中での深層の競争力強化については否定しない
という趣旨の質問をあまり失礼にならない形でさせていただいた.
さらに付け足せば,このおはなしを聴いて,目的設定におけるメタ的視点の必要性について考えていた.
目標を設定するときには,やはり,その目標自体がどうであるかの検討が必要であろう.
むしろ,その検討の基準をビジョンとして示すのが,ある意味でトップの責務ではないか.
ぼくが覚えた違和感のもう一つの源は,会社のトップであられる正坊地 氏からこのようなおはなしを聴いたからであろう.
ただ,それについては判断を留保したい. # 企業体のトップとしての企業体の成員へのものではないから
その後の懇親会でも,かなりこのはなしに拘泥して,モジュール化とデ・モジュール化の観点からの自動車産業とソフトウェア産業の違いについてや,知識創造
プロセスを考慮した開発のあり方について,大仰にいえば議論のようなものをさせていただいた. #
ぼくみたいな若造のおはなしをやさしくていねいにお聴きいただきましてありがとうございました
とは別に.
JASMINの中のかたへ.
お酒とご飯がでたので,1食分浮きました.ありがとうございました.

Posted by ysk5 at April 27, 2005 09:17 PM

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