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May 11, 2005

研究のことにかってに意見してみる

HIS-DPC:研究のことについて書いてみる2について,すこし考えたので,書いてみたい.

mo氏とぼくとでは問題関心に多少のズレがあるのかもしれないのだけど,おおむねは同じようだし,そのなかでの違いを明らかにするのならば,それはそれで有用ではないであろうか,という考えのもとに.

この研究で土台にしたいのは, 病院の要求を示した,SRS:ソフトウェア要求仕様書を作っていくということだ.

病院は,「自らの施設でどのような業務を行っているのか」
を認識しないまま(まず,これを認識させることが重要)
流行っているからなどとの理由から電子カルテなどの情報システムを導入している.
ベンダー側にしてみれば,何を作ればいいかあまりわからない中で作っているので,たいしたものができていない.

この齟齬を解決するために,SRSを作って議論したい.
という流れになっている.


ここで注意したいのは,研究者であり介入者であるmo氏の立場である.
病院とベンダーのどちらの側なのか,それとも第三者なのかにより,すこし扱いがちがうためである.
きいたところ,第3者よりらしいので,そのつもりで考えていく.

問題は,SRSをどうやって作成していくか,そこに方法論が必要であると思う.
その方法論は,SRSの作成が病院とベンダーという関与者の目的の共有や同意・合意を形成することを,保証するためのものである.

SRSを作ることが(そしてそれを提示することが),病院とベンダーという関与者の目的の共有や同意・合意を形成するのではない.
SRSを作ることを通じて,病院とベンダーという関与者の目的の共有や同意・合意を形成すると考えるべきだ.
と考えるぼくからすると,

最終的には,どう使うのか,
人が何をして,情報システムが何をして,
全体としてシステムが提供するものを提示できればと思う.
ではなくて,”どう使うのか,人が何をして,情報システムが何をして,全体としてシステムが提供するもの”について,同意が得られるような,SRSの作成を含む介入の方法論が大切であると思う.

この考えは,その分野の人には受け入れがたいことかもしれないが,SRSの内容が問題なのではなく,SRSがどう役に立つのか,もしくはSRSをどう役に立つようにするのかこそが問題である.
SRSの内容はあくまでも副産物であり,実現すべきoutputは”機能する情報システム”であり,”安全で安心できる医療活動”であろう.

つまり,関与者の合意,同意に基づくための ツールとして,SRS(ソフトウェア要求仕様書)を作りたいと考えている. これを批評のベースにすることで,お互いにものがみえてくるのではないかと.
これもまた,SRSが批評のベースになるような,SRSの作り方もしくは介入のしかたこそ問題ではないであろうか.

さて,このようなタイプの問題についての方法論として,SSM(Soft Systems Methodology)がある.
これはイギリスのほうで歴史のあるシステム方法論で,情報システム開発にも適用されている例が多いと思う.
SSMと情報システム開発については@ITに記事があるので,これを参照してはどうだろうか.
@IT:ソフトシステム方法論「SSM」とはなんだ(1)
上が,やや乱雑であるが,考えを書いてみた.

Posted by ysk5 at May 11, 2005 10:13 PM

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» 書くとはっきりする。 from HIS-DPC
SSMについての紹介とか、 殻に閉じこもっていたら発見できなかったであろう示唆をもらえることがありがたい。 #それ以上に指導がありがたいわけですが。 GT氏の指摘をひじょーにおーざっぱに捕らえるとすれば、 「情報化の際に病院And/orベンダーがすべきことという 導入�... [Read More]

Tracked on May 11, 2005 11:50 PM

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