June 01, 2005

麦秋

小津 安二郎.「麦秋」

結婚とは未来への期待である,という旨の言葉が印象に残った.

小津監督のすごいなーと思うところはタイトルの選択.
麦秋っていうのは,麦の穂がたわわに実り,刈り取りをむかえるという意味で,ある一家において娘の結婚ということが対応していて,ある種の安堵とある種の寂寥と,サーガというか輪廻というか,家族という継続体の一回りを暗示しているのが,すばらしい.

なんていうのかな,小津作品には形はさまざまとしても愛というものに溢れていて,それがとても心地よく,見終わった後に前向きな気持ちにさせてくれるという.

大好きです.

Posted by ysk5 at 11:03 PM | Comments (1) | TrackBack

May 04, 2005

水の女

杉森 秀則.「水の女」.2003年.

UAがすてきすぎる.
音楽がすてきすぎる.
映像もすてきすぎる.

婚約者を失った雨女が,火に安らぎを覚える男と出会う.
銭湯という場で2人は愛をはぐくむのだけど.
男は罪をしょった人間で,女はそれを水でもってして清めようとする.
というのが,要約っぽいもの.

人間の価値はどれだけ人に与えたかで決まるというのはメモっておこう.

Posted by ysk5 at 02:14 PM | Comments (0) | TrackBack

FRIED DRAGON FISH

岩井 俊二.「FRIED DRAGON FISH 」.1999年.

やたらレビューが好意的だけど.
ぼくはあんまりだった.

ドラゴンフィッシュっていう高級熱帯魚を中心に,その飼育役の男の子の淡い恋が描かれている.

しかし,なんとなくVシネマっぽい感じがあまり好きになれなかったのでした.

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四月物語

岩井 俊二.「四月物語」.1999年.

試みの続き.
田舎から好きな先輩を追いかけて大学まできちゃいましたなおはなし.

4月というのは出会いの象徴なのであろう.
隣人との出会い,クラスメイトとの出会い,そして大好きな先輩との待ちこがれた出会い.

これを淡々と書き綴るように,映像と音楽が流れていく.
もう少し長い時間観ていたかったような気がする.

Posted by ysk5 at 01:56 PM | Comments (0) | TrackBack

May 03, 2005

雲のむこう,約束の場所

新海 誠. 「雲のむこう,約束の場所」.2005年.

厳窟王のついでにかりてきたもの.
いちおう,システム論専攻の人間的には,物語の深層構造を読み取ろうという意図を持ってして,鑑賞する訳だけど,難解だ.

まず,二元論的に理想としての彼岸と現実としての世界を対比しているのではないかなと思った.
として考えるとき,彼岸の象徴である塔を破壊することは,つまり,理想に溺れることからの脱却という,いわゆる思春期から青春期への成長を示しているのか.
途中,塔の影響力が高まるのは,つまりはモラトリアムである考えのわたしという世界への侵攻を意味するのか.
うーん.よくわからん.

深層構造にこだわりたいのは,物語を書く作者の意図を感じたいから,というのが大きい.
ある物語でもってして,書かれていることと,伝えたいことはイコールである必要はなくて.
むしろ,伝えたいことを伝えるために書くというのが真であろうと,ぼくは思う.
だからして,作者の意図と意志を感じることができない自分を恨む.

Posted by ysk5 at 11:04 PM | Comments (0) | TrackBack

May 01, 2005

秋刀魚の味

小津 安二郎.「秋刀魚の味」.

薦められたものを観る企画その2.

親が父親しかいない家庭において,娘が嫁に嫁ぐはなし.
はじめは,嫁がせる気はなかったが,同様の境遇である恩師のようすから,葛藤を伴って,嫁がせることを決心する.
一悶着あったが,結局娘は無事嫁ぐことになる.

娘との別れ.
これを昔の懐かしさの象徴としての軍艦マーチをうまく使いながら,表現している.
”秋刀魚の味”とは,これも妻や昔,その懐かしさの象徴としての表現であろう.

人生は結局はひとりぼっち.
記録者であり記憶者である,家族との別れ.それは幸せであり,また悲しみでもある.

非常にすてきな作品だと思った.
派手なものはまったくないのだけども,画面から目を離すことはなかった.
主題のほかにも,世情の描写がすばらしい.
ある種の断絶,これが描かれていて,胸が詰まる.
これは現代にも言えることではないかと.

作品自体とは関係がないけれど.
やたら酒を飲むシーンがあって,よいです.Torysなバーとかいいね.

ともあれ,他の作品も観てみようと思う.

Posted by ysk5 at 09:46 PM | Comments (0) | TrackBack

花とアリス

岩井 俊二.「花とアリス」.2004年.

映像作品の鑑賞のしかたがいまいちわからないので,これの理解を目指す試み.
これは,たぶん,ひとつのdouble-loop learningの企て.

ということで,始めよう.

岩井 俊二監督をお薦めされたので,観てみた.
たぶん本編の半分以上を涙を流しつつすごした.
まず,画が絵であり写真であり,美しい.あと音楽が素敵すぎる.

散文というか,スケッチブックに書き連ねた落書きというか,それともとりためた写真をまぜこぜにして1枚1枚とりだしていくような.
それぞれの要素が緩やかなつながりをもってして,ひとつの「花とアリス」という作品になっていて.

たぶんこの作品では,何かを伝えたいというよりかは,何かを感じてほしいという意図があるのではないか.ぼくは青春の,その美しさを感じた.

岩井 俊二監督の作品をずびびと観てみることに決めた.

最後に.
蒼井 優が素敵すぎて困ります.

http://www.hana-alice.com/

Posted by ysk5 at 01:34 PM | Comments (0) | TrackBack